米国疾病対策予防センター(CDC)は先週、日本の風疹流行を「警戒」レベルとしました。海外も日本の動きに注目しています。
【まとめ】
☆CDCは日本での風疹の発生状況を、「警戒」レベルへ引き上げ、免疫のない妊婦は日本へ渡航すべきでない、としています。
☆こうした状況を受け、NHK World JAPAN も、厚労省や日本の自治体、企業、政党の動きを世界に伝えています。
☆WHOは、南北アメリカ大陸は2015年に麻疹を排除したと宣言。一方で流行を繰り返している日本。社会を挙げて感染拡大阻止を!
米国疾病対策予防センターの「警戒」レベルが意味すること。
米国疾病対策予防センター(CDC )は、米国から日本への旅行者に、以下のように警告しています。
●日本では今、風疹が流行(アウトブレイク)しています。
●日本への旅行者は、風疹を含むワクチン接種を受けていることを事前に確認すること。
●風疹は妊婦と胎児には非常に危険です。かかったことがない、もしくはワクチン未接種の妊婦は、この流行期間中、日本に旅行すべきではありません。
CDCは10月22日付で、日本の風疹の発生状況を「警戒」(アラート)レベルとしました。これは上から2段階目のレベルにあたり、「強化された予防措置を実践する」ものとされています。
CDCは、日本の保健当局(厚労省)が風疹の流行を報告しており、ほとんどの症例が関東地方(東京、神奈川、千葉、埼玉)で引き続き報告されている、としています。
日本への旅行者に対しては、ワクチン接種を完了しているか、過去にかかったことにより、風疹への免疫があることを確認すること、そうでない限り出国前に予防接種を受けなければならない、としています。また、妊婦に対しては「日本へ渡航すべきでない」とすると共に、特に項目を設けて先天性風疹症候群を警告しています。
NHK World JAPANは海外に向け、日本での取り組みを発信
海外に向けて英語で日本のニュースを発信しているNHK World JAPAN も、この状況を受け、日本での発生状況や、国、自治体、企業、政党の動きを世界に伝えています。

(NHK World JAPANより。各都道府県での今年10月21日までの風疹症例数)
紹介されている国内での取り組みについて、ざっとまとめてみます。
●厚労省
今までに風疹に罹っていない、もしくはワクチン接種の記録を持たない年齢層のすべての男性に、予防接種を勧めている。妊娠中の女性と頻繁に接触のある人および子供を持つ予定の女性にも、予防接種が推奨されている。(詳しくはこちら)
●東京都
先週、風疹の免疫検査費用への補助を拡大することを発表。妊娠を希望する19歳以上の女性のみに限定していた抗体検査や予防接種への補助を、妊婦や妊娠を希望する女性の同居者にも広げた。(詳しくはこちら)
●神奈川県
風疹に対する意識を高めて感染症拡大を予防しようとしている。「ミスキャンパスが語る理想のワクチン男子」と題した風しん撲滅PR動画をオンラインで公開。(詳しくはこちら)
●企業
一部の企業では、予防接種を必要とする従業員に対し費用を補助している。ある企業では、、1人あたり90ドル(1万円、予防接種費用の70%)を負担。拠出しています。(トップ画像もNHK World JAPANより。ナビタスクリニックがロート製薬で集団接種を行った際のもの)
●政党
国民民主党は、国会議員と職員の予防接種を実施(先日、ナビタスクリニックが行いました!)。玉置雄一郎党首自身も49歳で、リスクの高い年齢層のすべての男性に予防接種を受けるよう促している。
日本は風疹も対策後進国? 社会全体で感染拡大の阻止を!
NHK World JAPANは、厚労省によれば、妊娠中の女性に日本に行かないようにアドバイスしている国は、今のところ米国だけと伝えています。
しかし、日本での対応が後手後手に回っていけば、風疹対策の進んでいる国の人々からは、観光先として日本は敬遠されてしまうことでしょう。
世界保健機関(WHO)は、2016年12月の時点で世界194カ国のうち42カ国がワクチンを導入しておらず、導入している国でも普及率は13~99%とバラつきがあることを指摘しています。また、WHOは2015年、南北アメリカ大陸が世界で初めて風疹および先天性風疹症候群を排除したと宣言しています。

(Shutterstock)
これに対し、日本では2013年にも風疹が大流行しました。5年おきくらいに流行は起きているようです。社会全体で予防に努めることで、感染から自分や大切な人たちの身を守るのはもちろん、先進国として、また健康大国として、国際社会に高い意識を示したいですね。