-【濱木院長コメント】社員に風疹とインフルエンザのワクチン同時接種 東京の企業(NHKニュース)-

2018.10.25

ナビタスクリニック新宿の濱木珠恵院長が都内の企業に出張し、インフルと麻疹・風疹(MR)ワクチンの同時接種を行いました。NHKニュースが報じました。

 

※NHKの報道はこちら(冒頭写真も)

 

 

【まとめ】

☆企業の集団予防接種、従業員に、会社に、どんなメリットがあるかご存じですか?

 

☆風疹は30-50代男性の「集団免疫」が大ピンチ! 社会全体で乳幼児や高齢者を守れない?!

 

☆インフルはじめ、他の予防接種も企業での集団接種を! 従業員とその家族を守る「健康経営」は、新時代の経営戦略の常識に。

 

 

企業で集団接種を行うメリットとは・・・?

 

 

今回、濱木院長が出張して集団接種を行ったのは、東京都中央区に本社がある医療機器メーカー「サクラファインテックジャパン株式会社」。

 

 

同社は、2012~2013年に風疹が大流行したのをきっかけに、他の企業に先立ち、社員の方々への風疹の予防接種を開始。医療機器を取り扱う会社として社員の予防接種に取り組むのは当然である、として、会社が全額を費用負担しています。

 

 

以前から毎年、ナビタスクリニックがお手伝いし、今年も、インフルエンザワクチンと麻疹風疹混合(MR)ワクチンの同時接種を行いました。会長も自ら、予防接種を受けにいらしていたとのこと。

 

 

「企業で集団接種をするメリットとしては、勤務時間の合間に予防接種ができること、費用を福利厚生として充てることができること、社員の予防接種率を高めることができること、などがあります。インフルエンザも、麻疹・風疹も、集団の中で大半がワクチンを接種していることで予防効果が上がります」と濱木院長。

 

 

サクラファインテックジャパン社が数年前に率先して集団接種を導入したことが先駆となり、近年、他の企業にも集団接種への関心が広がってきていますこちら)。

 

 

流行を防ぎ、大事な人を守るための「集団免疫率」とは?

 

 

集団内でどれくらいの人が免疫を持っていれば感染拡大が阻止できるかを、「集団免疫率」と言います国立感染症研究所の資料によれば、風疹の集団免疫率は、83~85%。これを踏まえて、2017年度の抗体(免疫)保有状況を見てみましょう。

 

 

30代前半までは、男性と女性はほぼ同じです。0歳では抗体保有率は20%台ですが、MRワクチンを接種できる1歳台になると、70%台まで上昇しています。 さら2歳~30代前半では、概ね90%以上となっています。

 

 

ところが、こちらのブログでも何度か取り上げているように、30代後半~50代では、男女差が顕著です。女性はどの年代も97~98%と高い数字なのに対し、男性ではすべて90%を下回り、特に35~39歳は84%、 40~44歳は82%、45~49歳は77%、そして50-54歳では76%と大幅に低い抗体保有率です。

国立感染症研究所

 

 

生年度別のグラフで見ても、1962~1978年度生まれ(現在40~56歳)の男性の抗体保有率は、この10年間ほとんど変わらず80%かそれ以下となっています。

国立感染症研究所

 

 

つまり、30代後半~50代男性がほとんどを占めるような職場であれば、集団内での流行を防ぐのに必要な集団免疫率83~85%の達成は難しい。いつ職場内で流行してもおかしくないキケンな状況と言えます。だからこそ集団接種は評価できるのです。

 

 

インフルなど各種ワクチン、企業による集団接種が理想な理由。

 

 

集団免疫の観点からすれば、現在は個別接種が行われているインフルエンザワクチンも、本当は集団接種が良いのではないでしょうか?

 

 

実際、日本でも1960年代から約30年間にわたり、小学生を対象に学校で集団接種が行われていました。ご記憶のある方もいますよね? 感染した児童が学校でインフルを広め、他の子が持ち帰って家庭でも感染を広げ、ということが繰り返されている、という観察結果に基づく措置でした。

 

 

学校での感染拡大を阻止することで、結果的に社会全体での流行を抑え、間接的に高齢者などリスクの高い人々を守るのが狙いだったようです。

 

 

ところが、1994年に小学生の集団接種は中止となります。集団接種を実施していても、結局は毎年学級閉鎖や学校閉鎖が起き、流行を抑える効果が無いとの批判が相次いだためです。

 

 

しかし、小学校での集団接種が行われていた1970~80年代と1994年以降を比べた研究によると、集団接種はインフルの流行による死亡率を大きく改善していたことが分かります。それまで米国の3~4倍もあったインフル流行による死亡率が、小学生への集団接種開始に伴って、米国と同レベルまで低下しました。年間に約37,000~49,000人の死亡を阻止したことになります。

 

 

ところが、小学生の接種率が低下し始めた1980年代後半から、再びインフル流行による死亡率が上がり始めました。1994年の集団接種中止以降には急上昇しています。

 

 

集団接種の効果は、もっと見直されてしかるべきと言えるでしょう。

 

 

特に、日本の社会事情を考える時、集団接種が有効なのは小学生だけとは考えられません。感染時、学校を休むのは当然のことですが、一方で、社会人になると仕事優先で「風邪くらいで会社を休めない」と、風邪薬を飲んで無理やり症状を抑え、出勤する人も珍しくありません。その行動や価値観が、会社で、通勤途中の満員電車で、感染を拡げます

 

 

病気を押して出勤する本人ばかりを責めることはできませんよね。病気の時に好き好んで働く人なんて、めったにいないでしょう。社会の常識を変えていく必要があるのかもしれません。

 

 

ではどうするのか。大切な家族、リスクの高い人たちを、社会全体で守るためにも、企業での集団接種は有効と考えられます。忙しいから、金額が高いから、といった接種へのハードルを大きく引き下げることができます。従業員とその家族の健康を守る「健康経営」の一環として、すなわち経営戦略の1つとして、各種ワクチンの集団接種が普及するといいですね。

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