-風邪だとお風呂はなぜNG? 入った方がいい時もある、ってホント?-

2018.10.15

「風邪の時は、お風呂は入っちゃダメ」って、聞きますよね。あながち間違いではないのです。でも、症状によってはお風呂が改善を助けてくれますよ。

 

 

【まとめ】

☆実は、お風呂は風邪でなくても体にとって負担。体温を一定に保ち、水圧から身を守るよう、ホメオスタシスが働いているお陰ではあるのですが・・・。

 

☆ホメオスタシスとは、生物に生来備わった、体内の状態を一定の範囲内に保とうとする働き。

 

☆特に風邪で熱があると、負担が大きすぎてデメリットが上回ってしまう可能性大。熱がなくて元気なら、鼻やのどの症状の改善に役立ちます。

 

 

お風呂は、実は体には負担?! 「ホメオスタシス」を知っておこう。

 

 

風邪の時はお風呂はNG、って、けっこう聞いたことありますよね。でも、理由をご存知ですか?

 

 

先日、風邪と風邪薬について取り上げた時に、さらっとこんなことを書いておきました。

 

 

熱いお風呂に入ったり、無理に厚着をするのは逆効果。体には、体内を一定に保とうとする自然の仕組み(ホメオスタシス)が備わっているので、外から熱を掛け過ぎてもそれに抗おうとして、かえって負担になるからです。ますます体力を消耗してしまいます。

 

 

風邪をひくと熱が出るのは、免疫細胞を活発に働かせるため。でも、外からやたらと温めるのはちょっと待って、という話でした。

 

 

そこで出てきた「ホメオスタシス」という言葉――3回続けて言ったら舌を噛みそうなカタカナ語ですが、日本語にするなら「恒常性維持機能」です。

 

 

このホメオスタシスこそ「風邪の際のお風呂NG」の理由の本質に関わる部分なので、もうちょっと解説します。

 

 

私たちの体の中では、複雑な化学反応があちこちで絶えず行われています。それによって、睡眠など生理的なサイクルが保たれ、消化機能や運動機能、認知機能、免疫機能など、体のあらゆる機能が正常に働き、“普通”の毎日を送ることができています。

 

 

この化学反応やその結果として発動される物理的作用が、円滑に想定通りに進み、繰り返されるためには、体内の状態がある一定の範囲内に安定的に保たれていなければなりません

 

 

そうしようとする性質が、生物には生来備わっている。だから私たちは、成長や老化を重ねながらも、ほぼほぼ同じ毎日をくりかえし維持できます。今日と大きく変わらない明日が来るのです。

 

 

 

本題。お風呂に入ると、体には何が起きる?

 

 

さて、ようやく本題。お風呂の話です。

 

 

実は、お風呂は風邪でなくても、体にとっては負担でもあります。お風呂は、言ってしまえば、外側から一方的に熱と水圧を加え続けるもの。それに対してホメオスタシスが働き、体はエネルギーを使って体温上昇を防ぎ、水圧から身を守らねばなりません。

 

 

とはいえ元気だったら、これが無理なく行われるので、リラックス効果などメリットの方が上回るから良いのです。

 

 

一方、風邪で熱がある際は、デメリットが上回る可能性大

 

 

確かに体は免疫力を活性化させるために、体温を上昇させます。体温が上がった方がいいなら、お風呂で温めたほうがより良いように思えますが・・・?

 

 

問題は、体温上昇は免疫細胞の活性化には良いのですが、上がり過ぎれば真っ先に脳がダメージを受けるため、上がり過ぎないためにも体は頑張らねばならないこと。そこへさらに外界から熱を加えられてしまうのは、それこそ想定外。ただでさえ弱っている体にムチ打って、一生懸命温度を下げる方に労力を割かざるを得なくなります。

 

 

ちゃんとホメオスタシスが働いていればこそなのですが、体はますます疲弊し免疫システムを劣勢に追い込むことに。また、負担が増えたことで神経系や内分泌系などの調節機能が混乱しやすくなります

 

 

のぼせる(=熱を放散させようと急に血管が拡張し、血圧が下がる)ことで、気分が悪くなったり、めまいを起こしたり、失神の危険もあります。

 

 

湯冷め」もよくありません。お風呂に入った直後は、体温を下げようとする働きが強まっていて、一気に下がり過ぎやすいのです(これもホメオスタシスが働いているからこそなんですが)。

 

 

外敵に対抗するためにお風呂で体温を上げて免疫を活性化するはずが、湯冷めを起こしてしまえば、喉の粘膜のせん毛(後述します)の働きを弱め、免疫システムの勢いも低下して、ウイルスや細菌などの外敵に一気に付け込まれかねません

 

 

風邪で熱がある時のお風呂は、体にとっては余計なお節介どころか、迷惑千万ということです。

 

 

鼻・のどの症状だけなら改善も! 上手に活用しよう。

 

 

ただし、風邪でも状況によっては、お風呂に入ることがオススメな場合もあります。

 

●微熱もしくは平熱程度

●鼻やのどの症状を和らげたい

●食事はとれていて、体力はある

 

この3つの条件がそろっていれば、入浴は鼻やのどの症状を和らげるのに役立ちます

 

 

鼻やのどの粘膜には、眼に見えない細かい毛(せん毛)が生えています。せん毛が動いて粘膜表面に粘液の流れが作られ、外敵などの異物を体の外に追い出す仕組みです。

 

 

ところが、低温状態では、せん毛の働きが落ちます。毛細血管が収縮して、血流が悪くなるためです。空気が乾燥していると、さらにせん毛の動きは低下します。鼻が詰まったり、痰を出しづらくなったりします。

 

 

そこで効果的なのが、お風呂の湯気呼吸器の粘膜が潤い、体も適度に温まれば、せん毛がよく動くようになります。痰や咳、鼻づまりなどの症状を改善できるのです。熱がなければ、体を温めることで血行を良くし、全身の緊張をほぐす効果も期待できます。

 

 

というわけで、風邪でも熱がない場合は、ちょっと気を付ければお風呂もOK。のぼせないよう短時間さっとお湯につかり、入浴後は湯冷めしないように暖かく過ごして(できれば布団に入って休むのがいいですね)、鼻やのどの症状の回復に役立ててみてはいかがでしょう?

 

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