-「ピルは太る」なんて、ほぼほぼ迷信。しかも避妊以外のメリットもたくさんあります。-

2018.10.03

確実性の高い避妊方法ながら、誤解や抵抗感もまだまだ大きい低用量ピル。実は、生理痛や月経不順の解消から、様々な婦人科疾患の改善まで、避妊以外のメリットも大きいんです。

 

【まとめ】

☆低用量ピルは、99%確実に避妊効果が得られます。しかし日本での普及率はわずか1.1%と、欧州各国の数十分の1。韓国や中国を下回ります。

 

☆誤った副作用のイメージが先行しがち。「太る」といった誤解や、頻度の低い副作用を過度に恐れていることが多いようです。

 

☆低用量ピルは、生理痛や月経前症候群を和らげたり、ニキビや子宮内膜症を改善したりと、避妊以外のメリットもたくさん。積極的に活用しましょう。

 

 

 

ナビタスクリニックで先月オンライン処方を先月開始したアフターピルは、あくまで緊急用。頻繁に使うものではありませんし、お財布にも優しくありません。

 

計画的に、確実に避妊をしたい方には、「低用量ピル」をお勧めしています。

 

 

日本はピル後進国。ほぼ確実な避妊法、でも普及率はわずか1.1%。

 

 

低用量ピル(低用量経口避妊薬、OC)は、毎日規則正しく1錠飲むことで、高い避妊効果が得られる薬です。

 

 

卵胞ホルモンと黄体ホルモン、2つの女性ホルモン成分を含んでいて、体内の女性ホルモンの濃度をコントロールすることで、

 

排卵を抑制したり、

受精卵の着床を阻止したり、

子宮内に精子が侵入するのを阻止したりして、

 

妊娠を防ぐ仕組みです。その効果は、99%以上失敗率2~15%と言われるコンドームより確実なのです。

 

2015年の国連の統計資料によると、世界各国のピルの服用率(15-49歳女性)は、フランスは39.5%、ドイツは37.4%、英国は28.0%、米国は16.0%。これに対し、日本のピルの服用率はわずか1.1%。韓国の2.0%、中国の1.2%も下回っています(しかも中国は人口が多いですから、普及率は低くても服用者数は多いですよね)。

 

 

日本は、ピル後進国なのです。

 

 

低用量ピルの普及率が低い理由の一つは、国内での承認が遅かったこともあるでしょう。低用量ピルが日本で承認されたのは1999年。米国と比べて25年も遅く、国連加盟国の中では最後でした。

 

 

ただ、その後20年近くが経過してもなお、わずか1.1%。これほどまでに普及が進まないのは、なぜでしょう?

 

 

おそらく、副作用に関して、正しい理解が進んでいないこと、思い込みや誤解が根強いことが大きいと見られます。

 

 

思い込みや怖がり過ぎは損! 低用量ピルは安全で安心です。

 

 

たしかに、低用量ピルに副作用が全くないわけではありません。ただし、その多くは正しく理解されていないために、過度に恐れられているようです。1つ1つ見ていきましょう。

 

 

●「ピルを飲んだら気分が悪くなった」「吐き気がしてやめてしまった」

 

⇒これは、体内のホルモンバランスの変化によるもので、10人中1~2人の人が軽いつわりのような状態を経験すると言われます。しかしそれも顕著なのは数日間。そこでやめてしまわずに3カ月続けられれば、体が慣れて症状はなくなってきます

 

 

●「おっぱいが張る」「不正出血があった」「月経不順になった」

 

⇒これも同じくホルモンバランスの変化によるもの。これらも、2カ月もたてば見られなくなってきます

 

 

●「ピルを飲むと太る」と聞いた

 

⇒よく聞かれるウワサですが、これは主にちょっと昔のタイプの低用量ピルの話。現在使われている低用量ピルでは、そのようなことはほとんどありません。ホルモンの影響でごくわずかな体重変化はあり得ますが、女性の自然なバイオリズムの変化でも見られる範囲内です。

 

 

●「血栓症リスクが上がる?」

 

⇒「静脈血栓塞栓症」という血管が詰まってしまう病気では、リスクが3~5倍になると言われます。しかし、もともと女性10万人に5人しか発症しない(0.005%)ものなので、たとえ4倍になっても1万人に1人血栓が出来やすい体質でなければ心配なさそうです。また、脳梗塞リスクは、喫煙者の場合のみ2倍になると言われます。まずは禁煙ですね。

 

 

●「子宮頸がんのリスクが上がる?」

 

⇒子宮頸がんリスクは少し高くなると言われていますが、そこには低用量ピルそのものでなく、他の要因の関与も示唆されています。そもそも子宮頸がんの原因としては、ヒトパピローマウイルス(HPV)の影響が一番大きいと言われていますので、予防にはむしろHPVワクチンの接種が大事です。

 

 

●「乳がんリスクが上がる?」

 

⇒乳がんに関しては、25カ国での54の調査を再解析した結果、リスクは1.24倍と報告されていますが、これくらいの数字であれば、乳がん家系(近い血縁者に乳がん・卵巣がんが多い)でなければ問題ないと見てよさそうです。

 

 

●「将来の妊娠に影響しないの?」

 

影響しません。服用を止めれば、ほとんどの人は3~4か月でまた月経が通常通り来るようになり、飲む前の状態に戻ります。

 

 

知ってる? 避妊だけじゃない、低用量ピルのメリットあれこれ。

 

 

副作用のイメージばかりが先行しがちな低用量ピルですが、実は避妊以外にも服用するメリットがたくさんあります。

 

 

●生理痛や月経不順、貧血の改善

ホルモンバランスを整えるので、生理痛や月経不順を改善し、月経前のイライラ(PMS)の軽減に効果があります。月経期間の短縮と月経量の減少から、貧血が改善されます。

 

 

●子宮内膜症の軽減

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増え、剥がれ落ちる、というのを繰り返す病気です。剥がれ落ちた組織は通常は月経血として体の外に出て行きますが、子宮内膜症ではお腹の中にとどまって、炎症や痛みなどの原因になり、不妊につながることもあります。ホルモンバランスの乱れが原因とされるので、低用量ピルで改善が見られます。

 

 

●ニキビの改善

ホルモンバランスを整えることで、ニキビや多毛症に効果があります。特に男性ホルモンの産生と働きを抑えることになるので、“大人ニキビ”への効果が期待できます。

 

 

●特定のがんのリスク低下

子宮体がん、卵巣がん、大腸がんでは、リスクの低下が報告されています。

 

 

●乳腺の疾患の予防・改善

乳腺症の改善や乳腺の良性腫瘍の発生を抑えます。

 

 

ご存じなかった方には、かなり意外だったのではないでしょうか? 特に生理痛やPMSで日常生活に支障をきたしている方に、低用量ピルはかなりお勧めです。

 

 

低用量ピルを避妊のためだけと捉え、副作用への誤った認識を持っていると、女性ばかりが避妊のために負担を強いられるように感じてしまいますよね。

 

そうではないのです。

 

低用量ピルは、女性自身のために活用できる薬。生理不順やPMSの悩みを軽くし、自身の健康とライフスタイルをより良いものにするために、もっと積極的に、ポジティブに使っていけるんですね。

 

 

ナビタスクリニックでも、低用量ピルを処方しています。お気軽にご相談ください。

 

 

(参考サイト)

●日本産婦人科・新生児血液学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」

●日本産婦人科医会「低用量経口避妊薬(OC)の医師向け処方についての情報提供資料」

●MSD製薬「避妊情報サイト:あなたが選ぶ避妊スタイル」

 

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