先週末、厚生労働省がインフルワクチンの接種を13歳以上は原則1回とするよう通知した、という報道がありました。すでに全国的に学級閉鎖も出始めています。インフルエンザは冬のものではなかったのでしょうか?
【まとめ】
☆国内各所でまとまったインフル感染が出てきています。小・中学校の学級閉鎖も始まっています。
☆沖縄では夏もインフルエンザが流行します。このところの患者数も、全国的に「西高東低」の傾向が。
☆東南アジアでは、雨季にインフルエンザが流行。実は「湿度が高く雨が多い」気候も好むインフルエンザ、日本も温暖化で年中流行るようになる?!
実は昨年もこの時期から都内で学級閉鎖! すでに油断は禁物。
先週、東京都内をはじめ全国の小学校で、インフルエンザのために学級閉鎖が決定した、という新聞報道がありました。すでに国内各所でインフル患者が着々と増えつつあるのです。
今年は流行が早いのかな? と思って確認したところ、実は昨年もこの時期に都内で学級閉鎖が出始めていました。ちょっと昨年のネットニュースを引用。
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東京都教育委員会は2017年9月5日、大田区の小学校でインフルエンザによる学級閉鎖の報告があったと発表した。
この学校は、在籍児童数306人、学級数12学級の萩中小学校。9月5日現在、3年生の1学級で全児童23人のうち8人が欠席、インフルエンザと診断された児童もいたという。
閉鎖期間は9月6日~7日としている。
インフルエンザは、気温が高い今の時期でも油断できない。沖縄県では7月、小学校と高校で1校ずつ学級閉鎖となっていた。
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どうやら、「インフルエンザは冬のもの」という常識は、もはや通用しなくなりつつあるようです。
沖縄では真夏もインフルが流行。全国的に「西高東低」の拡がり?!
厚労省の発表している資料によると、今年も8/27~9/2の1週間に、全国で267人がインフルエンザで医療機関を受診しています(最新データは明日更新予定とのこと)。
中でも目を引くのが、沖縄の人数。65人と突出しています。沖縄は、夏もインフルエンザが流行。去年も7月に小中学校で学級閉鎖があり、2015年にも2015年7月末~8月初めに高齢者施設でインフルエンザB型の集団感染が報告された、という昨年の報道もあります。
再び厚労省の資料から全国に目を移すと、患者数はおおむね西高東低。沖縄に次いで九州の患者の多さが目立つのに対し、東北ではほとんど報告されていません。
今年は猛暑で決して東北が涼しかったとは言えませんが、それでもインフルエンザは「寒くて乾燥していると蔓延する」というこれまでの常識の逆を行っているようにも見えます。
原因は温暖化? 東南アジアでは雨季にインフルが流行します。
ただ、ところ変われば常識も変わるもので、年間を通して気温が高い東南アジアでは、雨季にインフルエンザが流行します。
実際、インフルエンザウイルスは、「乾燥していて寒い」だけでなく、「湿度が高くて雨が多い」タイプの気候も好むことが分かっています。アリゾナ大学が、世界75カ所の1975~2008年のウィルスの活動性を分析し、判明したものです(論文はこちら)。
沖縄も亜熱帯に属します。東南アジアと同じく、高温多湿な環境でインフルエンザが夏に流行するのは、何ら不思議ではないのです。
そう考えると、九州以北でこの時期にインフルが流行り始めているのも、温暖化の影響? というふうにも見えますね。
日本も温暖化によって、デング熱やマラリアなど、蚊が媒介する熱帯地方の感染症が広がる危険が言われています。でも、リスクが高まる病気は、それだけにとどまらないのかもしれません。
まずは正しい手洗い(こちら)と、うがいの習慣づけから始めましょう!