-意外と知らない食中毒2 ~調理時の油断が料理をキケンに-

2018.06.12

 

適切に品質管理された食材でも、調理時に食中毒の原因細菌を付けたり、増やしたり、殺菌できなかったりすれば、食中毒を引き起こします。

 

【まとめ】

☆加熱に耐えて生き延びる食中毒細菌。あたため直しに注意!

☆手に普通にいる食中毒細菌。おにぎりはラップの上から握って。

☆牛肉はレアが美味しい? ハンバーグや成型肉は生焼けNG!

 

(意外と知らない食中毒1 ~加熱しても毒素は消えません はこちら

 

 

誤解4:昨日のカレー、ほどほどに温めれば食べられるでしょ・・・適温まででは不十分!

 

 

時々耳にする、作り置きのカレーやシチューなどで食中毒が起きた、というニュース。原因の多くが、別名「給食病」とも呼ばれるウェルシュ菌という細菌です。

 

ウェルシュ菌は、ヒトや動物の腸の中の他、広く土の中などにいるため、根菜などについていることも多い細菌の一つです。やっかいなのは、「芽胞」と呼ばれる種子のようなものを作って、かなりの高熱にも耐えること。要するに、加熱しても全滅させられないのです。

 

芽胞は50℃以下になると発芽します。そこでウェルシュ菌は急速に増え、毒素を出すのです。そうして、温め直しを繰り返すほどに増えていきます。酸素を嫌うのですが、大きな鍋で煮込む料理は中心部が低酸素になりがち。カレーやシチュー、麺類の残り汁、煮魚や煮物で食中毒を引き起こしやすいのはそのためです。

 

対策としては、温め直しの際は、適温に達したところまでで火を止めるのはNGよくかき混ぜながら、いったん中まで完全に熱くすることが大事です。基本的には早く食べきるのが一番ですが、やむを得ず保存するときは、小分けにするなど急速に冷めるよう工夫をします。

 

同じく、はちみつなどに含まれることがあるボツリヌス菌も、酸素を嫌い、芽胞を作ります。芽胞は土壌に広く分布していますから、120℃で4分あるいは100℃で6時間以上加熱しなければ完全には死滅しません。

 

レトルト食品のように見えてそうでない加工食品だと、充分に加熱処理されていない時に食中毒細菌が増殖することも。パッケージが不自然に膨らんでいる商品などは、食べずに処分しましょう。

 

 

誤解5:お弁当は、ちゃんと手を洗って手塩で握った美味しいおにぎり・・・とても心配です!

 

 

食中毒の予防に最も大切なのが、原因となるウイルスや細菌を「付けない」こと。それには、調理する人も、食べる人も、まずは適切な手洗いが大前提です。

 

というのも、黄色ブドウ球菌など、ヒトの皮膚に普通にいる食中毒細菌もいるからです。しかも、通常の手洗いで細菌を完全に落とすのは、かなり困難。

 

黄色ブドウ球菌は傷口や化膿部分に多くいるため、蓄膿症の人が鼻を触った手や、傷があって絆創膏を貼りっぱなしにしている指での調理は、食中毒のリスクを高めます。

 

特に気を付けたいのがお弁当すぐに食べるわけではないので、それまでに付いた細菌が増え続けるからです。

 

黄色ブドウ球菌で言えば、菌数が10万個以上でないと発症しません。ですから手で握ってもすぐ食べるか、菌の増殖を抑えるように低温で管理できれば良いのですが、お弁当ではそうはいかないことが多いもの。

 

実際、黄色ブドウ球菌による食中毒の一番の原因食品は、「おにぎり」。今頃から秋にかけての遠足、運動会シーズンには、お弁当の定番ですよね。

 

というわけで、おにぎりは必ずラップの上から握りましょう。その他、お弁当のおかずは清潔な箸で容器に詰めてください。キャラ弁やデコ弁など創作を施した弁当が流行っていますが、調理後の食品を手で直に触れるのは最小限にしましょう。

 

 

誤解6:ハンバーグ、牛肉100%だからレアが美味しいでしょ・・・安全とは言えません。

 

 

よく知られている通り、鶏肉や豚肉、羊肉では、中心部も色が変わるまでしっかり火を通す必要があります。カンピロバクターやサルモネラといった食中毒細菌をやっつけるためです。目安は75℃以上で1分以上の加熱。

 

他方、「牛肉は生焼けでも食べられるでしょ」という人、確かに牛肉のステーキは、切った中がレアになっている方が美味しいという人は多いですし、それでも安全に食べられます。牛肉、つまりは牛の筋肉の中には食中毒微生物がいないからです。

 

ただし、表面はしっかり焼いてある必要があります。牛の腸内にいる食中毒細菌(一時大きな問題となったO-157などの腸管出血性大腸菌をはじめ、カンピロバクターやサルモネラ)が、肉を解体した際やその後に付着した可能性があるからです。

 

同じ理由で、ひき肉の場合は全体に火を通す必要があります。ですから生焼けで食べるレアハンバーグはお勧めできないのです。

 

また、近年では、焼肉やステーキレストランなどで、「柔らか加工」「霜降り加工」などと謳った成型肉(細かいくず肉や内臓肉を軟化剤で柔らかくして結着剤で固め、形状を整えたものや、肉に脂身を注射して霜降り状にしたもの)もよく見られます。これもひき肉同様、中までよく火を通す必要があります。

 

焼肉レストランでは、肉を焼く際の専用トングを用意しているところが多くなりました。食べるのと同じ箸で生肉を扱うと、箸についた食中毒微生物を口にする危険があるためです。肉を焼くトングや箸と、食べる際の箸は、必ず使い分けるようにしましょう。

 

 

(参考サイト) 東京都福祉保健局 食中毒をおこす微生物

 

 

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